30代後半~40代になると、笑った時の細かいシワや、小さくならない毛穴の開きが現れ始めます。いつもより肌の調子が良さそう、と感じた日でもシワや毛穴が無くなったわけではないなど、年齢を重ねていくごとに肌の衰えを感じることが多くなるでしょう。
特に、毛穴の開きは20~30代前半の時のような黒ずみ毛穴、角栓毛穴とは違い毛穴の中をキレイにすれば目立たなくなるというのものではありません。
30代後半~40代の方に多い毛穴の開き、それは「たるみ毛穴」と呼ばれています。
その名前のとおり肌のたるみが原因で開いてしまった毛穴のことです。どうして肌のたるみが原因で毛穴が開いてしまうのでしょうか?
原因とケアの方法を紹介いきます。
たるみ毛穴の原因は?
たるみ毛穴の原因は「加齢による肌のたるみ」です。
簡単に肌の構造を説明すると、肌は表皮(ひょうひ)とよばれる0.2ミリほどの薄い膜が皮膚の一番外側にあり、その内側に真皮(しんぴ)とよばれるおおよそ2.0ミリほどの皮膚の層があります。真皮は約70%がコラーゲンでできており、他には弾性繊維(エラスチン)、細胞外マトリックス、ヒアルロン酸といった線維でできているのです。
真皮の層は肌の弾力、ハリ、柔らかさ、保湿力などに関係する層になり、コラーゲンとエラスチンが肌の弾力、ハリをつくり、ヒアルロン酸が肌の水分を保っています。
コラーゲンやエラスチンといった肌の弾力を保つ繊維成分は、加齢とともに減少してしまったり紫外線のダメージなどによって繊維の質が落ちてしまうことも。
そうすると弾力を失った肌は重力によって引っ張られ、毛穴も下に伸び広がった状態になってしまいます。これが「たるみ毛穴」と呼ばれる状態です。
たるみ毛穴の特徴として毛穴の形が楕円形であることが挙げられます。重力によって皮膚が引っ張られて毛穴が広がってしまっているので、上を向いたり、皮膚を重力に逆らう形で引っ張ると目立たなくなりますのでぜひチェックしてみてください。
また、たるみ毛穴が進んでしまうと毛穴同士がくっついて帯状の毛穴を形成することも。これを帯状毛穴とよび、帯状毛穴は小じわを作る原因になります。
たるみ毛穴の原因① 肌の水分不足
たるみ毛穴ができる原因のひとつは、肌の水分を保つヒアルロン酸の不足。
ヒアルロン酸は真皮の層の他にも、関節部分や、血管内、脳や眼球、爪などにもあり、主に保湿やクッションの役割をになっています。
ヒアルロン酸は年齢を重ねると共に減少していき、真皮のヒアルロン酸が減少すると肌は乾燥しがちになります。ふっくらハリがあった頃より乾燥した肌は表面もしぼんだような状態になり、シワやたるみができるようになります。さらに、乾燥した肌は固くなり柔軟性を失うので、シワやたるみは目立ちやすい状態になってしまうのです。
たるみ毛穴の原因② 肌のハリの低下
ふたつ目の原因は肌のハリ、弾力をになうコラーゲン、エラスチンの減少。
コラーゲンは肌のハリや体の弾力性をつくる役割があります。膠原(こうげん)線維といって伸び縮みしない半面強度があるタンパク質になります。
逆にエラスチンは伸縮性をもったタンパク質です。弾性線維といって、この伸縮性が機能している肌はたるまない状態になります。
コラーゲンは体内で作ることができますが、エラスチンは年齢とともに壊れていくだけで再生しないと言われています。
また、外的な要因である光老化(紫外線によるダメージ)でもコラーゲンやエラスチンは減ってしまうことも。コラーゲンとエラスチンが年齢と共に減少していき、紫外線のダメージでさらに減少し、肌のハリや弾力の低下が肌のシワ、たるみ毛穴として表面に現れてくるのです。
たるみ毛穴の原因③ 表情筋の衰え
三つ目の原因は老化による筋力の衰えです。
表情筋の衰えは肌がたるみやすくなり、たるみ毛穴の原因になってしまいます。たるみ毛穴の他にも口角が下がる、ほうれい線ができる、まぶたがたるみ目が小さくなる、ほほ全体が下がり顔が老けて見える、など顔全体の印象が変わってしまいます。
たるみ毛穴へやってはいけないこと
では、たるみ毛穴のケアとしてやってはいけないことは何でしょうか?
いろいろなポイントの中でも特に避けたほうがいい2点をご紹介します。
UVケアをしない
UVケア(紫外線対策)をしないで日中外へ出かけてしまった、ということはないでしょうか。
紫外線による老化は「光老化」とよばれ、加齢による自然な老化とは区別されています。
光老化とは、紫外線が真皮にあるコラーゲンやエラスチンを変成させ、本来の機能を失わせること。私たちは乳幼児の頃からずっと紫外線を浴びていますので、正常に機能しているコラーゲンやエラスチンはその頃から徐々に減少しているのです。
そうして蓄積されたダメージが30代後半~40代になるころ、肌のたるみやシワ、たるみ毛穴となって現れてきます。
洗顔しすぎる
毎日の洗顔で肌にダメージを与えるような洗い方をしていないでしょうか。
例えばスクラブやピーリングを行う頻度が高かったり、毛穴の汚れが落ちない時に無理やり押し出そうとしたり、何度も洗顔を行ってしまうのはその時はスッキリするかもしれませんが、肌へのダメージは大きいのです。
たるみ毛穴の原因は肌の衰えのため、毛穴ケアは20~30代前半の毛穴の開き(角栓毛穴、黒ずみ毛穴など)と同じようなピーリング剤などで角質や汚れを取り去るケアではなく、エイジングケアが重要になります。
たるみ毛穴へのおすすめなケア法
次に、たるみ毛穴へのおすすめなケア方法をご紹介します。
ぜひ毎日のケアに取り入れてみてください。
たるみ毛穴のケア① 紫外線対策
紫外線対策は必ず行った方が良いでしょう。
紫外線を浴びた皮膚は浴びていない皮膚に比べて肌の老化が早く、肌の老化を抑えるのはいかに紫外線対策を行うかといっても過言ではありません。
毎日のUVケアの中でどれだけ最小限にコラーゲンとエラスチンへのダメージを抑えられたかが、ポイントになります。
5月~9月末にかけては紫外線も強く一番注意したい期間になりますが、その他の月も紫外線が無いわけではないのです。
こまめに日焼け止めを塗る、日傘や帽子を使う、UVカット生地の服を羽織るなどの紫外線対策を毎日おこなうことを意識していきましょう。
たるみ毛穴のケア② 濃密な保湿ケア
紫外線のダメージを抑えた次は、保湿を重視してスキンケアをしていきます。
保湿方法としては保湿力の高い乳液、クリームを選んでみましょう。
肌は季節によって、あるいは年齢によって水分と油分のバランスは変わっていきます。
今までずっと同じ化粧水・乳液を使ってきて問題なかったという方も、もし、たるみ毛穴が気になる場合は今より保湿成分の高い化粧水・乳液に変更してみるのも良い方法でしょう。
保湿効果を高める成分としては、セラミド・ヒアルロン酸が挙げられます。保湿成分が高いフェイスパックや美容液などを使うのもおすすめです。
また、保湿剤としてワセリンを使う方法も。ワセリンは、石油から得た炭化水素類の混合物を脱色して精製したもので、一般的にワセリンというとは「白いワセリン」をさすことが多いです。
皮膚表面にパラフィンという膜を張り角質層の水分の蒸発を防ぎ、乾燥を防ぐ効果があります。ワセリン自体は水分を与える機能はないので、スキンケアでワセリンを使うときは化粧水や美容液、乳液などで十分に肌へ水分を与えてからワセリンでフタをするのが良いでしょう。
たるみ毛穴のケア③ ハリ・たるみケア用のスキンケア
もうすでにハリの低下やたるみが気になっていて、改善をしていきたいという方はエイジングケアを行っていきます。
化粧水・美容液・乳液・クリーム・パックなどいろいろな種類のスキンケア用品がありますが、普段使っているスンケアにエイジングケアの効果がある化粧品をいれてみましょう。
例えば、
- ビタミンC
- レチノール(ビタミンA)
- コラーゲン
- フラーレン
などは、加齢によるシワ、たるみ、乾燥肌を抑制する効果があるといわれています。
年齢に合わせてスキンケアを変えていくことはとても大事なポイントです。
たるみ毛穴のケア④ 表情筋を鍛える
加齢と共に筋肉はどうしても落ちていってしまいます。
頬のたるみ毛穴が特に目立っていた場合は、頬の筋肉が衰え頬が重力に従って下がっていることも要因になっているかもしれません。
表情筋を動かすマッサージを行って固くなってしまった筋肉をほぐしましょう。
例えば、
- 口の中で舌を回し、表情筋と舌筋トレーニング
- 口を大きくあけながら「お」「あ」を繰り返して表情筋を動かす
- 美容液やクリームを使って顔全体をじっくりマッサージ
などを行います。
顔の筋肉は頭の筋肉と繋がっていますので、頭の筋肉も頭皮マッサージを行ってほぐしていくとより良いでしょう。
エルクリニックのたるみ毛穴治療
たるみ毛穴は毎日のケアで予防していくことができます。しかし、一度できたたるみ毛穴を元に戻していくには時間がかかります。
また、肌のエイジングケアは手間もかかりますし、本当に正しくセルフケアができているか心配になるかもしれません。
美容皮膚科エルクリニックでは、たるみ毛穴でお悩みの患者様ひとりひとりに合った治療をご提案しております。顔のたるみ毛穴だけでなく、デコルテや顔以外の部分の顔の毛穴の開きが気になるという方もぜひ一度カウンセリングにお越しください。
お問い合わせはお電話にて承っております。
銀座エルクリニック院長 簡野晃次
日本医科大学医学部 卒業
銀座エルクリニック 院長
医療法人社団友輝会エルクリニック 理事長
エルクリニック医師 木山麻衣子
筑波大学医学群医学類 卒業
東京大学医学部附属病院 形成外科
埼玉医科大学総合医療センター 形成外科・美容外科
東名厚木病院 形成外科・美容外科
虎ノ門病院 形成外科
所属学会
- 日本形成外科学会
- 日本乳房オンコプラスティクサージェリー学会
- 日本創傷外科学会
資格
- 日本形成外科学会認定専門医
- 乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
- アラガンジャパン ボトックス認定医
- アラガンジャパン ジュビダームビスタ認定医
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論文発表
年代 | 雑誌名 | タイトル | 著者 |
---|---|---|---|
2011 | 『脱毛よさらば!―発見!新発毛メカニズム』 | 簡野晃次 | |
2023 | 日本形成外科学会会誌 43 (2) | 難治性下腿潰瘍の治療中に発症したメトロニダゾール誘発性脳症の2例 | 木山麻衣子 |
学会発表
年代 | 学会名 | タイトル | 発表者 |
---|---|---|---|
2019 | 第62回 日本形成外科学会総会 | 「歩行障害と排尿障害を呈した外陰部巨大脂肪腫症の治療経験」第7回 日本乳房オンコプラスティック | 木山麻衣子 |
2019 | サージェリー学会 | 「乳頭乳輪再建後の新しい乳頭保護材の開発」 | 木山麻衣子 |
2020 | 第63回 日本形成外科学会総会 | 「Development of a new nipple guard after NAC reconstruction」 | 木山麻衣子 |
2020 | 第29回 日本形成外科学会基礎学術集会 | 「脂肪腫の解剖 脂肪腫は神経血管束周囲で発生する」 | 木山麻衣子 |
2020 | 第8回 日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会 | 「乳輪乳頭再建術後の新規乳頭保護剤の開発」 | 木山麻衣子 |
2021 | 第26回 形成外科手術手技学会 | 「新規乳頭保護剤Nipple Shapeの開発と使用経験」 | 木山麻衣子 |
2021 | 第64回 日本形成外科学会総会 | 「新規乳頭保護剤Nipple Shape 開発と使用経験」 | 木山麻衣子 |
2021 | 第65回 日本形成外科学会総会 | 「下肢難治性潰瘍の治療中に発症したメトロニダゾール脳症の2例」 | 木山麻衣子 |